シンシアルハート/社会貢献レポート 独居老人をなくすために 「見守り」の鍵を握るのは、地域との繋がり。

中山:全国で今、何名ぐらいの方々をサポートされていますか?

古賀:九州の 9 カ所の自治体から依頼があり、在宅医療として利用される方、一人住まいが心配で利用される方を合わせ、約五千名の方をサポートしています。

中山:自治体ごとの申し込みになるのですね。システムの運用には、自治体との連携が欠かせないということですか。

古賀:そうです。一番大きな自治体が大分の佐伯市で、独居の方全てをサポートしたいと依頼がきて、そこだけで約千名の方が利用されています。そういう自治体が九州で9カ所あります。地方の場合、近くに医療施設も介護施設もないので通院するのも困難、いわゆる医療難民になる人が多いのです。先々、田舎のクリニックと連携して、そういう方々をサポートできれば良いと思っています。また、利用者の方は俗に言う買い物弱者でもありますから、生活支援を求められる方が多い。現在、生活支援をやっていただける登録店として、福岡ではイオンさん、鹿児島では農協や生協さんと連携しています。

中山:利用者の方と店の間を仲介する、ということでしょうか?

古賀:地域内で宅配を請け負っている業者を探し出して、利用者の方に紹介するというかたちですね。たとえば、利用者の方が弁当の宅配を希望されたら、その地域で宅配をされている業者に我々が連絡をとり、あとは互いにやりとりしていただくということです。通常は、社会福祉協議会がそうした支援を行っていますが、対応は個々の自治体によって異なるんです。利用するための冊子も作られ配布されていますが、必要なときには手元にない場合が多い。そうした要望が多い地域では、たらい回しにされてイヤになった…とおっしゃるおじいちゃんもいますね。

中山:昔の三河屋さんみたいに、御用聞きの習慣が残っていれば良かったと思いますが、今はこちらから出向いて買い物に行かないといけない時代ですから。ネットショッピングというのもありますが、高齢者の場合はそうもいかない。

古賀:地域の商店街と連携して、それこそ大根一本、トイレットペーパーひとつから宅配出来れば理想ですね。

中山:在宅医療支援システムを普及するうえで、ハードルとなっていることはありますか?

古賀:まずはケアマネージャーさんへの周知ですね。なかには在宅医療が何かをご存じじゃない方が多いんです。特にヘルパーさんからケアマネージャーになった方の場合、在宅医療と往診を混同されやすいようです。また、ドクターからの情報が足りないため、ストレスを感じながら仕事をしている方が多いですね。そういうケアマネージャーの方をサポートするために、地元で訪問診療、在宅医療に協力的な医療機関を紹介する、そういうサービスも行っています。医療機関とどうしても垣根、溝があるということで、相談会、説明会、研修会などを企画して先生に来ていただき、自宅でできる検査など、在宅医療で何が出来るのか提案いただき、介護と医療の融合を図っているところです。

中山:実際、このシステムを利用するにはどのくらいの料金がかかるのでしょうか。

古賀:在宅医療を受けず、ひとり住まいで不安だという方の場合、この機械と子機をつけて月に 3,625 円いただきます。毎日の安否確認、相談と緊急の対応、生活支援、月一度のお元気コールをやらせていただいています。また、在宅医療が必要な方の場合、同じくこの機械をつけて同様のサービスの他、ドクターが月に二回訪問されます。この場合は利用者の方の負担は全くありません。入会金、登録料、コールセンターの利用、端末設置費用もかかりません。

中山:素晴らしいですね。

古賀:出来るだけ高齢者の方の負担をなくしたい、その想いが私たちの出発点ですから。在宅医療が必要ない方の場合は料金をいただいていますが、こちらもぜひ負担を軽減したい。現在、月々 3,000 円で、一人が一人をサポートしようというプロジェクトを立ち上げたところです。田舎に残した親を支援したい、あるいは亡くなった親の代わりと思って高齢者の方を見守りたい、そういう方が 100 人起ち上がっていただけたら、100 人の高齢者の方をサポート出来る…というプロジェクトです。

中山:子供の里親の逆バージョンですね。やはり、地元との連携がとれているからこそ、在宅医療も介護も実現できるのでしょう。

古賀::そうですね。こういう機械をつけて、何かあった場合は私どもがいったん受けて、後は近隣支援者の方が駆けつける。地元住民が連携してお一人の高齢者を守る、それが理想だとおもいます。高齢者に負担をかけずにそういうサポート体制がとれるのが理想です。こうした見守り事業というのは、自治体や民間ではやれない部分もある。NPO 法人としての役割を感じています。介護と医療の融合というのが高齢化社会問題の大きなテーマでもあります。半年前と今では状況が違いますし、ましてや私が始めた五年前と今では全く状況が変わりました。活動もずいぶんやりやすくなりました。